浸水想定区域図の目的
浸水想定区域とは、洪水などにより河川の堤防が決壊した場合に浸水が予想される区域のことで、河川管理者が指定します。また浸水想定区域図は、その浸水想定区域と区域内の浸水深さを示した図面です。事前に浸水想定区域・浸水深さを把握しておくことで、少しでも被害を少なくするために指定・公表するものです。
荒川浸水想定区域図「荒川下流部版」の目的
荒川は流路延長が長く、流域も広大です。従って、堤防が決壊する場所により、はん濫の形態が異なります。荒川のはん濫の形態は以下の5通りが考えられます。
- (1) 元荒川広域はん濫:左岸64.0~74.0km
- (2) 荒川左岸低地はん濫:左岸河口~49.0km
- (3) 入間川合流点上流はん濫:右岸50.0~84.0km
- (4) 荒川右岸低地はん濫:右岸12.5~44.4km
- (5) 江東デルタ貯留型はん濫:右岸6.0~10.0km
荒川下流部の左岸域では、荒川下流部の堤防が決壊した場合には浸水せずに、荒川上流部からのはん濫水が時間をかけて南下して浸水する区域があります。また、荒川上流からのはん濫による浸水深の方が大きくなる区域もあります。
上流からのはん濫水がこうした区域に到達するまでには、堤防決壊から2~3日を要することが想定されています。
一方、荒川下流部の堤防が決壊した場合、「荒川下流部版」の浸水区域のうち、ほとんどの区域は24時間以内に浸水することが想定されています。
浸水想定区域図は、上流部からのはん濫による浸水と、荒川下流部の堤防が決壊した場合の浸水を重ねた浸水区域を示しているため、そのはん濫特性の違いを表現することができません。
そこで、はん濫特性の違いを明確にするため、荒川下流部の堤防が決壊した場合に想定される浸水想定区域図「荒川下流部版」を作成し、新たに情報提供するものとしました。
また、荒川下流部にお住まいの方に対して、はん濫水が短時間で到達し、より危険である区域を理解していただくことも目的としています。
「荒川水系版」と「荒川下流部版」の違いについて
「荒川水系版」と「荒川下流部版」の違いは、想定している堤防決壊箇所が異なります。堤防決壊箇所以外のはん濫シミュレーション条件や計算手法に違いはありません。
既に公表している「荒川水系版」は、国土交通省が管理する区間すべてを堤防決壊の対象とし、各堤防決壊箇所のはん濫区域を重ね合わせて作成しています。
今回新たに情報提供する「荒川下流部版」は、国土交通省が管理する区間のうち荒川下流河川事務所が管理する区間を堤防決壊の対象とし、「荒川水系版」と同様に各堤防決壊箇所のはん濫区域を重ね合わせて作成しています。
従って、荒川上流のはん濫区域をA、荒川下流のはん濫区域をBとすると、下記のようになります。
- 荒川水系版のはん濫区域=A+B
- 荒川下流部版のはん濫区域=B